首が腫れている・しこりがある
首が腫れている・しこりがある

「気づいたら首の前側に膨らみがある」「首にしこりを触れる」「鏡を見たら首が腫れている気がする」——首の腫れやしこりは、自分で気づいたり、人から指摘されて初めて発見することも多い症状です。
首の腫れ・しこりの原因はさまざまで、甲状腺の疾患(甲状腺腫・甲状腺結節・甲状腺がんなど)、リンパ節の腫れ、のう胞(袋状の構造物)など、幅広い疾患が考えられます。その多くは良性ですが、中には早期対応が必要なものも含まれるため、「様子を見よう」と放置せず、専門的な診察・検査を受けることをお勧めします。
当院では、首の腫れ・しこりに対して、甲状腺超音波検査・ホルモン血液検査などを用いて丁寧に原因を調べています。
首のどの部位に腫れ・しこりがあるかによって、疑われる原因がある程度絞られます。
首の前側の中央~やや下
(のどぼとけの下あたり)
甲状腺の腫大(甲状腺腫)・甲状腺結節(腫瘍)が多い。
首の前側・のどの真ん中
甲状舌管のう胞(先天性のう胞)のことがあります。
首の横(胸鎖乳突筋に沿ったライン)
リンパ節腫脹・側頸のう胞・耳下腺・顎下腺の疾患など。
首の後ろ・後頸部
リンパ節腫脹・脂肪腫など。
特に、首の前側・甲状腺の位置にある腫れは、甲状腺疾患として内科・内分泌内科で詳しく調べることが重要です。
甲状腺全体が均一に腫れている状態で、橋本病(慢性甲状腺炎)やバセドウ病(甲状腺機能亢進症)でよく見られます。甲状腺の機能が正常でも腫大することがあります(単純性甲状腺腫)。自覚症状がないまま発見されるケースも多く、血液検査・超音波検査で評価します。
甲状腺内に生じる限局した腫瘤(しこり)のことで、超音波検査の普及により近年発見頻度が増えています。甲状腺結節の大多数(90%以上)は良性ですが、一部に悪性(甲状腺がん)が含まれます。
良性の甲状腺結節には以下のものがあります。
腺腫様甲状腺腫
甲状腺組織が過形成した良性の腫瘤。最もよく見られます。
甲状腺のう胞(嚢胞)
液体の入った袋状の構造物。多くは経過観察でよいとされています。
甲状腺腺腫
良性の腫瘍性変化。
甲状腺がんは、甲状腺に生じる悪性腫瘍です。日本では女性に多く発生し、甲状腺がんの中で最も多いのは乳頭がん(全体の約85〜90%)で、一般に進行が緩やかで予後が良好とされています。しかし、まれに進行が速いタイプ(低分化がん・未分化がんなど)もあるため、早期の発見・対応が大切です。
甲状腺がんは超音波検査による形態評価(石灰化・低エコー・不整形など)と、必要に応じた穿刺吸引細胞診(針で細胞を採取する検査)によって診断します。当院では超音波検査を実施し、悪性が疑われる場合は専門施設へ速やかにご紹介します。
首のリンパ節が腫れる原因として、以下が挙げられます。
感染症(細菌・ウイルス)
風邪・扁桃炎・歯周病・伝染性単核球症(EBウイルス感染)などでリンパ節が反応性に腫れます。多くは数週間で自然に改善しますが、長引く場合は精査が必要です。
悪性リンパ腫
リンパ球ががん化する疾患で、首のリンパ節が複数・無痛性に腫れることが特徴の一つです。発熱・寝汗・体重減少をともなう場合は特に注意が必要です。
転移性リンパ節
頭頸部・甲状腺・肺などのがんが首のリンパ節へ転移した状態。
サルコイドーシス・その他
全身性の肉芽腫性疾患でもリンパ節腫脹が生じることがあります。
脂肪腫
皮下脂肪組織の良性腫瘤。柔らかく可動性がある。
粉瘤(アテローム)
皮膚の角質が袋状に溜まった良性のしこり。
耳下腺・顎下腺の疾患
唾液腺の炎症・腫瘍。
側頸のう胞・甲状舌管のう胞
先天性ののう胞性疾患。若年者に多い。
以下のような状態の場合は、早めに内分泌内科を受診されることをお勧めします。
当院では、首の腫れ・しこりに対して以下の検査を行います。
問診
腫れに気づいた時期・変化の速度・痛みの有無・随伴症状・既往歴・家族歴(甲状腺疾患・頭頸部がんなど)を詳しく伺います。
視診・触診
腫れの部位・大きさ・硬さ・可動性・圧痛の有無を確認します。
甲状腺超音波検査(エコー)
甲状腺・頸部リンパ節の形態を画像で詳しく評価します。結節の大きさ・性状(石灰化・内部エコーなど)・血流の状態を確認し、良悪性の鑑別に役立てます。
血液検査(甲状腺機能)
TSH・FT3・FT4・抗TPO抗体・抗サイログロブリン抗体・TRAb(バセドウ病疑い時)などを測定します。
血液検査(全身評価)
炎症反応(CRP・白血球)・血算など、必要に応じて測定します。
専門施設への紹介
悪性が疑われる所見や穿刺細胞診が必要と判断した場合は、頭頸部外科・耳鼻咽喉科・甲状腺専門外来へ速やかにご紹介します。
甲状腺超音波検査(エコー)は、被ばくなく・痛みなく・短時間で甲状腺の状態を評価できる非常に有用な検査です。甲状腺の大きさ・形・内部の様子・結節の有無とその性状・頸部リンパ節の状態などを詳細に確認できます。
健康診断で指摘された方・自分で首の腫れに気づいた方・過去に甲状腺疾患を指摘されたことがある方など、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
首の腫れ・しこりは、良性の甲状腺結節からリンパ節炎、まれに悪性疾患まで、さまざまな原因が考えられます。多くは良性ですが、自己判断で放置することはリスクを伴うため、専門的な診察・検査で原因を確認することが大切です。
当院では、甲状腺超音波検査・血液検査を用いた迅速な評価を行い、必要に応じて専門施設へのご紹介まで、一貫して対応しています。「首に何か触れる気がする」「以前より首が腫れている気がする」という方も、まずはお気軽にご来院ください。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個々の症状・治療法については必ず医師にご相談ください。
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